飲食店のホールスタッフという仕事の魅力。
いちばんは、

「ダイレクトなレスポンス」

これだと思います。

自分がとった行動に対して、目の前でお客様の反応が見られる。
しかも飲食店って、求められたものを提供するということが基本のお仕事なので、よっぽどのことがない限りイヤな顔をされることもない。
営業職とも販売職とも違うのはここかなぁと。
オーダーに対して普通に提供できれば、それだけで成立します。
自分から売り込まなくても成立してしまうんです。
でも、気持ちよく過ごしてもらったり「ありがとう」「また来たいな」という感情につなげるためには何ができるかを考えるようになったとき、ひととしての成長があると思うのです。

最初は、ただお金のために始めるひとがほとんどかもしれない。
けれどその仕事を続けていくうちに、同僚から、お客様から、自分では普段通りの振る舞いをしていたつもりなのに「ありがとう」と声をかけられるようになって、それがうれしいと感じている自分に気づくときが来ます。
自分にとっては些細なことでも、誰かにとっては特別なことだったりする。それは何だったのかな、と振り返ったときに、自分を見つめ直したりひとの気持ちを考える機会を得るのです。

私が飲食業で初めて嬉しいと思ったことは、お客様の一言でした。
当時、私は居酒屋のアルバイトをしていました。初めての飲食店勤務で、与えられた役割に真面目に取り組もうと心がけてはいたものの、「早く上がり時間にならないかなぁ」と考える程度には苦手な仕事だと感じていました(笑)。
そんな心持ちのまま半年ほど過ぎたある日、熱を出してしまい、２日お休みをいただくことになりました。
申し訳ない気持ちになりながら療養し、その結果、次の出勤日には無事に熱も下がり、いつもどおりに出勤してホールの仕事をこなしていました。
カウンターの近くで接客をしていると、週に２、３回くらいのペースで来ていたおひとりさまの常連さんが声をかけてくださいました。
「おとといはいなかったね。どうしたの」
「熱を出してしまってお休みしてたんです、すみません」
「あぁ、そうかぁ。お嬢ちゃんの元気な声がなくて寂しかったよ～。今日も頼むよ！」
「……はい。ありがとうございます！」
元気な声がなくて、寂しかった。そう、私に言ってくださったんです。
できることに真面目に取り組んでいただけの私を、そんなふうに見ていてくださった方がいたなんて。
そのとき私は、すごく、すごくうれしいと、心の底から思いました。
特別なことなんてできなくても、スタッフが元気に接することで喜んでくださるお客様がいるんだということを、そのとき初めて身に沁みてわかったんです。
「お客様に喜んでもらえるということが、自分にとってこんなにうれしいことだなんて気づいていなかった。もっともっと喜んでもらえることがしたい」
接客に対する姿勢が変わったのは、それがいちばん大きなきっかけだったように思います。

あれから10年。
いろいろな店舗を経験しながら、根っこの部分はぶれることなく、太く逞しくなってきたという自負があります。
接客を通して「うれしいと感じた自分」に気づけるかどうか。
それが、飲食店のホールスタッフを続けていけるかどうかの分かれ道のような気がします。



今日はここまで。
ありがとうございました。

suzu




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はじめまして。
suzu といいます。

美味しいものを食べることと美味しいお酒を飲むことが大好きです。
飲食店に長いこと勤めているので、趣味と実益を兼ねています(笑)

そんな私が、これまでの約10年を通して感じてきたこと、考えていることを、ブログというかたちで残していきたいなと思いました。
いままでつらいこともたくさんあったけれど、それ以上にすてきな出逢いや素晴らしい経験をさせてもらってきました。この仕事をしていたからこそ、私という人間は私自身を好きになることができました。

正社員という雇用形態がすべてではなくなってきている現代社会で、私のように長くアルバイト勤めをしてきたひともたくさんいると思います。
また、いま就職活動をしながら飲食店でアルバイトをしているひともたくさんいるでしょう。
嫌々やっているひとも、楽しんでやっているひとも、そこに向き合う姿勢は様々で、それでいいんじゃないでしょうか。
ただ、私は飲食業がとってもすてきな仕事だと思うから。
だからこそ、苦しかったこと、悩んできたこと、そして救われてきたこと、得てきたもの、たくさんの側面をここに綴っていきたいと考えています。

いつか、誰かが、同じような気持ちを共有したり、何かのヒントを掴んでくれることを願って。

これから、よろしくお願いします。

suzu


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てすと投稿です。


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